19.行きつけの店で #2

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19.行きつけの店で #2

「ここでいいか。後から2、3人来るけど。」 大倉は店員にそう言った。店員は急いでテーブルの用意をした。 私の脇で池田の身体が緊張するようにこわばってきているような気がした。池田と大倉はそれほど仲がよくはないのだろう。 池田は正社員だからそういう力関係では立場上は上なのかもしれないが年齢や勤続年数は大倉の方が上で現状としては先輩というような感じだ。 タイプ的にも大倉は同性からも異性からも慕われるような独特の空気があったから池田は言ってみれば「格下」だった。 「珍しいね。こういう席に池田がいるなんてさ。川島さんと池田って珍しい組み合わせじゃない?仲いいんだ?」 大倉が私と池田を交互に指差しながら言った。 「こういう席って私達、鈴木さんと飲むんでここにいたわけじゃないよ。偶然だよ。」 私はもう一度同じことを言った。 「お二人は付き合ってるんですか?もしかしてデート中?」 市田が口を開いた。 「デートじゃないよ。正美と3人のつもりだったけど正美がダメになって。」 私は少しだけ話を作った。 市田とは初日以来会話したことがなかったからほぼ初対面と言えた。私は警戒のスイッチを入れた。市田はとても抜目ない気がした。 それにパートのおば様方からの評判があまり芳しくない。同じ売場の正美も手をやいているというエピソードをいろいろ聞いていた。 それと反比例するように男性からの人気はうなぎ登りだった。いつも違う男の子をしたがえて休憩をしていた。 女の子と休憩しているのは見たことがなかった。それだけでも同性の反感を買いそうなことだ。
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