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「鈴木さんていくつですか?」
また市田が聞いた。懲りないらしい。
「32。」
鈴木が答えた。
「ちょうどいいじゃない。本当に結婚しちゃえば?」
松尾が言った。
「だろ?あとは川島チャンの気持ち次第。もっと言ってやって。」
鈴木が言う。
「松尾さんまで。もう。」
「悪くないと思うよ。鈴木さん。」
松尾は半分ふざけながら半分真顔で言った。
「無理ですよ。川島さん彼氏いるから。」
今まで黙って会話に参加していなかった池田が唐突に口を開いた。みんなが一斉に池田をみた。
「みんな知ってるよ。」
大倉が言った。
「えー?カレシいるんですか?」
さらに空気を乱して市田が言った。いい加減うんざりしてきた。
「いるけど。」
私はぼそりと言った。
「いいなぁ。どうして結婚しないんですか?」
無邪気さを装って平気な顔をして市田が聞いてくる。でもその目にはさげすむような挑戦的な色があった。
「それは私と彼の問題。」
あなたには関係ないでしょという空気を残して言った。
「いいですね。カレシもいるのに年下の池田さんとデートして鈴木さんにもプロポーズされて。
うらやましい。」
市田も一歩もひるまずそう言った。
「別にデートしてたわけじゃないけど?
それに市田さんなら男性はよりどりみどりでしょ?」
「そんなことないですよー。」
市田がわざとらしく謙遜してみせた。否定して欲しいに違いない。
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