30.変化

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私たちの関係の変化に真っ先に気づいたのは正美だっただろう。 職場を出てから池田の門限が許す限り私たち二人はともに過ごした。その輪の中に正美と正美の子供が入らなくなっただけだ。 不本意ではあったけれど私たち三人が元の関係に戻れるとは思えなかった。三人のバランスを保つために自分の感情を抑えることはしないことにした。 正美とはあれ以来池田の話はしなかった。正美はおそらく私と池田がこれまでの関係とは違ったものになったことに気づいたと思う。 池田と二人きりでにいる時間が増えていく一方で正美とは表面的な付き合いになっていった。 胸が痛まないわけはない。良心の呵責を感じた。正美のおもいびとを奪ってしまったのだから。 言葉でなじられたわけではない。結果的にはなじられた方がよかったのかもしれない。 正美に謝るチャンスがあるわけだから。謝ったところで正美の気が済むわけではないが謝らないことで私の罪悪感は増していた。
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