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出勤して着替えを済ますと事務所に入る前に検収所に行ってみたが池田はいなかった。
3階のバックルームに行ってみると軍手をして作業をしている池田を見つけた。以前なら絶対に話しかけることなど出来そうもない空気。
池田は今日もそんな空気を発していた。それでも私は話しかける必要があった。そのために探していたのだ。近くに人がいないことを確認してから近づいた。
私が近づいていくのが予測出来なかったせいか池田は驚いたらしく、そのせいで無防備に見えた。私としては身構えて欲しくなかったから好都合だった。
「おはよう。」
努めて明るく言った。
「おはよう。」
戸惑ったような様子で池田は言った。
「何?」
「午後の休憩一緒に行こう。迎えに来て。」
「うん。」
「話したいの。」
私は立ち去る前にそう言った。池田は黙って私の顔を見ていた。私は軽く手を振ってから後ろを向いて階段に向かった。
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