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正美の方が15分契約が長いのでゆっくり着替えて待った。
「ごめんね。待たせて。」
正美が出てきた。
「待ってないよ。行こう。」
正美と帰宅するのは久しぶりだった。途中の別れ道までは方向は一緒だ。そこまでは黙って走った。別れるところにきて止まった。
「うちに来る?」
私は聞いた。
「ううん、アヤ迎えに行かなきゃいけないからさ。立ち話もなんだけど。」
そう言って一呼吸置いた。
「聞いておきたくて。」
私は正美の話を待った。
「池田のことなんだけど。」
正美は大きく息をつき少しためてから言った。
「池田はミオのことが好きなんだと思う。」
正美が言った。私は何か言おうとしたが結局言葉を飲んだ。正美は下を向いて続けた。
「いいの。それはもうわかってるから。否定しなくても。」
「そんなんじゃないよ。」
私の言葉は上滑りしているみたいに響いた。
「ミオも気づいてるはずだよ。」
正美は私の言葉に取り合わず断言した。私は黙っていた。
「私が聞きたいのは……」
正美は顔を上げて私の方をひたと見た。
「聞いておきたいのはミオの気持ち。ミオは池田のことどう思ってるの?」
正美は私をまっすぐ見て言った。
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