34.プラン

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「今日は一緒にいてよ。」 その声に滲んだ切実さに胸をつかれた。 「うん。」 私は頷いた。 ずっと裏切られてきたのだ。いまさら悟のことを気にすることなんてないのだ。昨日だって結局帰宅もしなかったわけだし。いまだに連絡もない。 列車は定刻に出発した。有楽町や新橋を展望席から眺めるのは不思議なものだ。特急列車に乗るのは久しぶりだ。いつも遠出する時は悟の車だったから。 もう悟とのことで悩む必要はない。気持ちにきちんとピリオドを打って新しく踏み出そう。今日はその始まり。楽しもう。 「ねえ?リュウ?」 「うん?」 「悟のことは気にしなくていいよ。現実的な問題は帰ってから考えるけど悟とは別れる。リュウとちゃんと始めよう。」 リュウがじっと私を見た。 「今までごめんね、リュウ。」 「ありがとう。」 リュウがにっこりと笑った。私も笑った。
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