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景色が都内から郊外になりだんだん人家が減り山々が増えてきた。買ってきた軽食を食べながら二人初めての旅を楽しんだ。
「海だ。」
リュウが言った。車窓に海が見えてきた。空は青く海は波が高そうだがきらきらしている。
「リュウ?」
「何?」
「ありがとう。連れて来てくれて。」
私は言った。
「私、昨日泣いてたの。リュウといなかったら今もきっと泣いてる。」
「どうしたの?」
心配そうにリュウが言った。
「なんかおかしいと思ってたんだ。何かあったの?」
「もういいの。私がずっと悟に裏切られてたってだけ。だからリュウは悟に悪いとか思わなくていいんだよ。」
「裏切られてたって?」
私はしばらく窓の外の海を見ていた。今は昨日のことは思い出したくない。リュウが気遣わしげに私を見ているのがわかった。
「話したくないんだね。無理しなくていいよ。」
私はリュウの方を向いて笑いかけた。
「リュウのおかげで笑えるの。」
「じゃあいっぱい笑って。いっぱい笑わすから。」
リュウはそう言いながら私をギュッと抱きしめた。
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