32.ダメージ #2

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その晩とうとう悟は帰って来なかった。 ふと気づくとリビングで寝ていた。泣きつかれて寝てしまったようだ。4時過ぎで外は少しずつ明るくなってきていた。 夜明けまでもう少し眠ろう。闇の中ではろくなことを考えない。問題に向き合わなければいけないがせめて明るくなってからにしよう。 今はただただ疲れた。何も考えずに眠りたい。私はふらふらとベッドに潜り込んで眠った。 6時半にまた目が覚めた。起きたくなかった。寝ている間は憂鬱な気持ちに苦しめられない。起きれば重苦しい気持ちになった。 私の気持ちとは対照的に夜の間に雨は止みきらきらと太陽がさしていた。爽やかな初夏の一日の始まり。暑くなりそうだった。 携帯が点滅していた。重たい頭でメールをチェックした。悟からはメールも着信もなかった。今まで連絡もなく外泊したことはなかった。 恵といるのだろう。ずしんと気持ちが沈んで胸は鈍い痛みに苛まれた。
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