35.潮風

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海風が心地好かったけれどだんだんと冷えてきた。私が腕をさすっているのを見てリュウが聞いた。 「寒い?」 リュウはひざ枕の姿勢から起き上がって私の背中から腕を回して包むように抱いた。 そのまま私の頭を自分の胸元に寄せた。これまで意識したことはなかったからリュウの胸の筋肉が厚くてたくましいのに驚いた。 あんな繊細な目をしているのに。その体の持つ力強さとしなやかさが素肌にダイレクトに伝わってきてドキドキした。リュウの熱い鼓動が聞こえる。 「体や冷えてきたみたいだから行こうか。」 リュウは私の背中と腕を抱いたまま立ち上がって歩きはじめた。
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