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海岸通りを歩いてみたけれど海は真っ暗で何も見えない。それでも波の音と潮の香りがして海辺の街の情緒があった。私の肩を抱いて歩きながら
「寒くない?」
とリュウは聞いた。
「平気。」
私は答えた。バッグの中で携帯が振動した。ぴったり寄り添っているのでリュウにも伝わる。
「出ないの?」
私は携帯を取り出して確かめた。悟だった。
「いいの。」
私は言って電源を切った。リュウが立ち止まった。
「本当に俺でいいの?後悔しない?俺、彼氏みたいに大学も出てないし何の取り柄もないよ。」
私の体に回していた手をジーンズのポケットに突っ込んでリュウは言った。
「後悔なんてしない。取り柄がないなんて言わないで。リュウに惹かれずにはいられないの。リュウは自分の魅力がわからないのね。」
私はジーンズに突っ込んだリュウの両手を取って自分の胸にあてた。
「わかる?私の鼓動。」
私はそのままリュウの顔を見上げた。
「鼓動のたびにどんどんリュウに惹かれていくみたい。」
私はリュウの首に両腕を回してキスをした。
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