38.初めての朝

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「このあとどこか行くとか決めてる?」 私は聞いた。 「決めてないよ。どうして?」 「じゃあせっかくだけどあまり遅くならないうちに帰りたいな。」 「いいけど。どうして?ゆっくりしていってもいいじゃん。」 リュウは心なしかがっかりして見える。 「帰ったら不動産屋に行きたいの。家探ししなきゃ。」 悟と住んでいるところを出るつもりだった。今となっては一刻も早く出たい。もう悟と暮らすわけにはいかない。 「俺もついていく。一緒に探す。」 真剣な面持ちでリュウが言った。 「決心してくれたんだね。彼とのところを出るんだね。」 「うん。だから住むところを探さなきゃ。」 もしかしたら私としては不本意ながら実家に帰らなければならなくなるかもしれなかった。一人で自活が難しければ。 今の場所とは離れたところになるかもしれない。それは家賃と相談して決める。いずれにしろ今ほどリュウには会えなくなるかもしれない。 それは言わずにおいた。
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