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「だね。でも……」
リュウは言いかけて止まった。私はリュウの方を見た。
「でもまあ意識はしてた。多分ミオが思うよりずっと前から。」
ぽつりぽつりとリュウは話した。
「ちょっと憧れてたんだ。でも嫌われてると思ってた。住む世界が違うみたいな空気だったし。」
リュウは言った。
「そんな風に思ってたわけじゃないんだけどね。でも確かにちょっと苦手だったかも。」
「ほらね。やっぱり。」
「だって気難しそうだし話し掛けにくいしいつも一人でいるし。俺に触るなみたいな空気発してたし。」
思い出して思わず顔がほころぶ。
「なんだよ?」
その様子を見ていたリュウがちょっとふて腐れたように言った。
「慣れてきたらこんなにかわいいひとだったなんてね。」
私はリュウの骨張った長い指に触れた。
「悟とうまくいってなくて悩んでたけど今となってはそんなすべてが通過地点だった。リュウにあえてよかった。」
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