33.気分転換

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バス停は歩いて5分くらいのところだった。表通りを通るともう少しかかるけれど住宅街の間を通って猫しか通らないような家と家の間の隙間のような道を通ると近道だった。 歩き出すとリュウは私の手をとってにっこり笑った。 「鈴木さんとも手繋いでただろ?すごくムカついた。」 怒ったような顔をしてみせたあとでまた笑顔に戻って言った。 「ね?初めてデートらしいデートじゃない?仕事終わってから飲みに行くとかじゃなくて朝から一緒って。つまりこうなってからは。」 「こうなってってどうなったのよ?」 リュウの言いたいことはわかっていたけれど面白半分にからかうように言ってみた。 「どうってつまり俺達が付き合うようになって初めてのデートらしいデートってこと。天気もいいし最高だな!」 リュウは本当に嬉しそうでそんな様子を見ていたら彼の楽しそうな気分でこちらまで楽しくなるような気がした。 少し気分が軽くなった。瞬間リュウを抱きしめたい衝動にかられた。愛おしい。そう強く意識した 。
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