33.気分転換

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ひとの感情なんて予測不可能。自分だって…… 手をつないで歩いていると嵐のような昨晩が嘘のようだった。空はこれ以上ないというくらいどこまでも青かった。 前線が通り過ぎたあとの風が少し吹いているのが歩いているには気持ちがいい。 私の気分も昨晩の嵐と涙から解放されてきた。 今は私の手を引いて少し前を歩くリュウの背中をちょっと不思議な心持ちで見ていた。こんなにも気持ちがすっきりと切り替わるなんて。 「すごい天気いいから屋内じゃもったいない気がしない?どうしようか。どこか行きたいとこある?」 リュウが聞いた。 「うーん。浮かばない。」 「そんなこと言わないでさ。初めてのデートだよ。なんかリクエストないの?俺なんかミオと出かけるならいろいろ行きたいとこいっぱいあるよ!」 「じゃあそのリュウの行きたいとこにしようよ。どこが一番行きたいの?」 「うーん困った。山手線内だけでも行きたいとこばっかだよ。ほかにも富士急とかディズニーランドとか八景島とかドームにも行きたいし。鎌倉とか横浜にも行きたいし。日光とかもいいね。それから……」 「すごい欲張り。」 私は言った。 「食べ放題もいいね。」 楽しそうにリュウは言った。 「お腹空いてるの?」 半分呆れながら私は聞いた。 「うん。ちょっとね。」 「朝食べてないの?」 「食べたよ。寮で朝飯。でもいくらでも食べられるからさ。任せて。」 リュウは意味不明なガッツポーズを得意げにしてみせた。
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