39.転居

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「何があったの?彼氏と」 食事をしながらリュウが聞いてきた。 「え?」 急な質問だったので一瞬何のことか答えに詰まった。 「別に言いたくないなら聞かないけど。泣いたって言ってたから旅行中もずっと気になってたんだけどさ。」 リュウの目は気遣わし気な表情だ。少しの沈黙のあとで私は言った。 「あの日、昔の友達と久しぶりに会った日があったでしょう?」 「うん。」 「あの時彼女がカミングアウトしたの。悟と付き合ってるって。」 「え?」 リュウは絶句した。 「しかもずっと昔から。私と悟が付き合い出したばかりの頃からずっと。 つまり二股だったってわけ。長い間。」 私は箸を置いて弱々しく微笑んだ。 「なんだよ、それ。」 リュウは私をじっと見た。 「馬鹿みたいでしょ?」 私は乾いた声で軽く笑った。 「馬鹿みたい。私、何にも気づかなかったの。告白されるまで。私だけ何も知らなかった。本当に馬鹿。」 思い出すと悔しくて情けなくて涙が滲んだ。リュウはそんな私をじっと見ていた。 「とどめはね、子供が出来たから別れてくれって。」 言ってしまったとたんにポロッと涙がこぼれた。リュウは私の手を取ると 「出よう。」 と言って店から出た。
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