7人が本棚に入れています
本棚に追加
リュウは私の家の近くまで送ってくれた。悟を警戒してちょっと手前で別れることにした。リュウは私を心配して一緒に来るといって聞かなかったのを説得して帰らせたのだ。
「来てくれれば一人より心強いし来て欲しいけどでもこれは私と悟の問題だし。それに今のところはリュウの存在は伏せておきたいの。その方が都合がいい。」
「わかった。でも許せない。ミオのこと裏切り続けて泣かせるなんて。殴ってやりたい。」
「ダメだよ。リュウが殴ったら死んじゃうかも。」
リュウは少し前までジムに通っていたのを思い出して焦って言った。
「わかってるよ。殴らないよ。」
私を安心させるように穏やかな表情に戻って言った。
「でも何かあったらすぐに連絡して。何時でもすぐに行くから。必ずだよ。約束して。」
「ありがとう。大丈夫。手をあげるような人ではないから安心して。」
私は心配そうなリュウを逆に励ますように言った。リュウは私を自分の方へ引き寄せそっと両腕で私をくるむようにしておでこにキスをした。
「じゃあ頑張ってね。もし連絡できたらメールでもちょうだい。無理なら構わないからね。」
「うん。わかった。」
リュウの力強い腕の中にすっぽり包まれているのが心地良すぎて離れがたかった。
「じゃあ行くね。」
私はするりとその腕から抜けて言った。
「うん。」
私は曲がり角で振り返ってリュウに手を振った。リュウは心配そうに手を振り返した。
最初のコメントを投稿しよう!