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外から見るとカーテンから洩れる明かりが見えた。悟は在宅しているのだ。玄関の鍵を開ける前、一度大きく深呼吸した。
「ただいま。」
小さな声で言った。靴を脱ぎ上着も脱いで手にかけてリビングに向かった。
部屋に入ると悟が私を上から下まで一通り眺めて言った。
「今までどこにいた?携帯の電源まで切って。」
私は答えなかった。無視して寝室に入ってクローゼットに上着をかけた。悟が後ろから乱暴に私の腕を掴んで言った。
「誰とどこにいたんだよ。言えよ。」
「離して。」
私は乾いた低い声で言いながら腕を払いのけた。拒絶反応で寒気がした。悟には触れて欲しくなかった。
悟は私を睨みながらもう一度同じことを言った。
「誰といた?この二日間。」
私は悟の脇をすり抜けてさっと洗面所に向かった。
「待てよ。何とか言えよ。」
私の背中に向かって悟が声を荒げた。
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