46.真夜中の電話

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「ふわぁ……」 食べ終わるとリュウは足を伸ばして大の字になった。 「ごちそうさま。なんか眠くなっちゃった。」 酒に強くないリュウは350の缶一本分で真っ赤になっていた。このまま眠ってしまうだろう。 リュウをそのまま寝かせておいて後片付けを始めた。熱帯夜だった。窓を開けていても涼しい風が通るわけではない。 片付けが一通り終わったのでもう一度シャワーを浴びた。リュウはそのまま本格的に寝てしまったようだ。 こんな風に正美の家でも寝てしまったに違いない。正美はかつて今まさに私がしているようにリュウを愛おしげに見ていたことがあった。 その正美のうっとりしたような表情を見ていた私は正美がリュウに抱いていた恋慕の情を確信したのだった。 私は今更ながら罪悪感に苛まれるのを感じた。悟と暮らしていた所を出て新居に引越したことを話すということは、つまり悟と別れてリュウと始めた事を暗に告げるようなものだ。 どうやって伝えるべきか、言わないほうがいいのか、そんなことを考えていた。
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