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48.復帰 #2
「どうしたの?大丈夫?」
鈴木が私の側に来て聞いてきた。
「ちょっと…具合悪くて。」
私は言葉を濁した。
私が何か口ごもっている空気を読み取っているようだが、それ以上は詮索して来なかった。
「元気になったなら飲みに行こうよ。」
爽やかな笑顔でそう言う。
「はい。」
私もにっこり笑って返事した。
実際には今の状況では鈴木と飲みに行くのは難しい。リュウが許すはずもない。
でも鈴木の誘いにはつい自然に笑顔でこたえてしまった。自分で苦笑してしまう。リュウを愛しているが鈴木に好意があるのは否定しがたい事実だ。私って浮気者なんだなと思わず赤くなって下を向く。
鈴木がすぐ側に来てそんな私を面白そうに覗き込んでから「はい」と書類を差し出して私の頭をコツンと小突いた。
「変なこと考えて赤くなってないで仕事しろよ。」
と言った。
「変なことなんて考えてません!」
私は鈴木に言い返した。
鈴木はニヤリと笑って通り過ぎていった。
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