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しばらく二人とも黙ってその場に立ち尽くした。
正美がちらりと腕時計を確かめた。
「ごめんなさい…」
「こんな顔でお迎えになんていけないよ…」
言っているそばから涙が頬を伝った。
「始めからこうなるような予感がした。」
正美はバッグからハンカチを取り出して涙を拭った。
「私がバカだった。
池田が最初からミオに興味津々だったのは気づいてたのに。
初めて三人で飲んだ日にあいつがミオを呼んでくれってしつこく言ってきた時からね。」
私は黙っていた。
「私は本当はミオを呼びたくなかった。二人でいたかったけどあいつがしつこく言って聞かなかったから。」
「それからは毎晩ミオを呼んだのは、ミオがいれば池田も必ず来るってわかってたから呼んだの。エサだったから。卑屈だって思ったけど、池田に来て欲しくて。今振り返ってみれば池田の気持ちに私は気づいてた。見て見ぬフリをしてた。
池田は鈴木さんとミオの彼氏に嫉妬してた。」
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