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「私は全然…」
言いかけた言葉を正美がおしかぶせた。
「わかってる。始めはミオが何とも思ってなかったのはわかってた。でもだんだん、二人の距離が近づいていくのがわかって不安だった。だからこそミオに私の気持ちをわかってほしくて。牽制したかったの。まだ間に合ううちにって。身を引いて欲しかった。ミオなら池田じゃなくたってほかにも選べるじゃない。鈴木さんだってよかったじゃない?よりによってなんで池田なの?なんでこともあろうに親友のミオが私の池田を取るの?
なんで私から池田を奪わなきゃいけなかったのよ!」
なじるような視線が痛かった。
「本当に池田のこと愛してた。夢中だった。池田が私のすべてだった。夢だったの。わかる?ずっと前から、ミオと知り合うよりずっと前から私は池田が好きだった。ミオがここに来る前からね。私は池田を愛してた。ミオよりずっと愛してる。私には池田しかいなかったのよ!あいつのことだけ思ってたのに!どうして人のものを取るのよ!」
正美の目からまた大粒の涙がこぼれ落ちた。
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