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リュウの周りにいた数人の人達は引き波のようにさーっとあちこちに去っていって、嵐の爪痕のように私とリュウだけが取り残された。
リュウは静かに私のそばに歩いてきて黙って私の手を取った。
「行こう。」
私の手を引いて駅の方向へ歩き出した。
私もつないだ手を離すこともなく黙って歩きはじめた。
「聞こえた?」
「うん」
「みんなに聞こえちゃったんだね。
いつからあそこにいたの?」
「さあ。とにかく正美が大声でわめいてたのは全部聞こえた。俺のこと、すべてだったとか、なんとか…みんな聞こえた。」
リュウはその場に立ち止まった。
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