50.言葉では伝えられない気持ち

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リュウの周りにいた数人の人達は引き波のようにさーっとあちこちに去っていって、嵐の爪痕のように私とリュウだけが取り残された。 リュウは静かに私のそばに歩いてきて黙って私の手を取った。 「行こう。」 私の手を引いて駅の方向へ歩き出した。 私もつないだ手を離すこともなく黙って歩きはじめた。 「聞こえた?」 「うん」 「みんなに聞こえちゃったんだね。 いつからあそこにいたの?」 「さあ。とにかく正美が大声でわめいてたのは全部聞こえた。俺のこと、すべてだったとか、なんとか…みんな聞こえた。」 リュウはその場に立ち止まった。
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