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リュウは急に立ち止まった。私達は駅に向かう裏道の方の商店街を歩いていた。通行人があからさまに邪魔だという顔をしながら抜かしていった。私はすいませんというように頭を下げた。
「つまり、きれいな髪も、かわいい耳も、指も好きだし、その目も。きれいな声できっつい辛口な台詞を言うところも。」
「うん。主に顔とか体じゃない。」
「だからさぁ、俺が言いたいのは言葉なんかじゃ言えないってこと。多分、ミオが考えてるよりずっとミオが好きなんだ。
どこへも行くなよ。」
リュウはそう言うなりいきなりギュッと私を抱きしめた。
「ちょ、ちょっと。恥ずかしい。」
私は身をふりほどきながら言った。
「みんな見てるじゃない。」
通行人は見てはいけないものを見るようにちらりと一瞥して通り過ぎていった。
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