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ドアが開いてその姿を認めた瞬間、嫌な予感がした。そして私の方にニコニコと近づいてくるということは予感は的中するに違いない。私は反射的に身構えた。
「今日、正美さんお休みなんですよ。珍しいですね。体調崩すなんて。
なんかショックなことでもあったのかなぁ。
川島さん、なんか聞いてます?メールしても返事なくて。
川島さん仲良しだからなぁんか知ってるかなぁって。
皆さん、なんか聞いてます?
ちょっと心配で。」
市田だった。
一方的に言いたいことを言う間も、完璧に整ったかわいい笑顔を絶やさない。
「聞いてないわよ。」
塩沢が言った。佐藤やほかのレジのグループも曖昧な笑いを浮かべたり聞こえないふりをしていた。
市田がわざとらしく何かいいたげに私を見た。
私はまだ食べかけだったが黙って席を立とうとトレイに手をかけた。
その私の袖口を並木が引っ張った。
「ほっときなさい。」
小声で言う。
市田はそれなりに満足したらしく、愉快そうに軽快な足取りで男の子のいるテーブルの方に立ち去っていった。
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