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「正美、ごめんなさい。」
伏せていた目を上げて私は正美を見た。
「え?」
「池田くんとつきあってる。」
正美が視線を外した。
私は次の言葉に迷っていた。何を言ったところで弁解がましくなってしまう。
正美にはただ謝ることしか出来ない。
「…うん。そうだろうと思ってた。」
「ごめんなさい。」
消え入りそうな小さな声でそっと言った。
「…一緒に…?」
「え?」
「池田と一緒に住んでるの?」
「違う、違う。私だけ。一人。」
即座に否定した。
「でも池田のために別れたんでしょ?彼氏と。」
「うん。まあ、きっかけは。」
「そうか…」
正美は私の方を見ようとしなかった。
「いつからなの?あんた達。
もしかして…?」
正美の口調は最初のショックからだんだんと憤慨の色合いが滲んできたようだった。
「もしかして、うちに来てた頃からずっと?」
正美が視線を上げて私をひたと見据えた。傷ついて怒りを孕んだ目がまっすぐ私に向けられていた。
その強さに気圧されて思わずたじろいだ。
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