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「私にはしたり顔でしゃあしゃあと『茨の道かもよ』って言ったんだよ!」
そうだった。そう言ったのは事実だ。
「そりゃ茨の道よね!親友だと思ってた人に陰では裏切られてるのに。それに全く気づかず相談してたんだから!
本当に馬鹿みたい。」
「そんな意味で言ったんじゃ…」
「何も言わないで!」
正美はほとんど怒鳴るように言った。なんとか堪えていたらしき涙が正美の目から溢れた。
社員通用口が開いて数人の主婦のパートの人達がこちらにやってきた。
みんな驚いたような目で私達二人をちらりと見た。
中の一人、中央レジの佐藤が
「どうしたの?」
と正美に声をかけた。
私は恥ずかしくて俯いた。
「…何でもない。大丈夫。」
正美は小さな声で答えた。
ほかの人に肘を小突かれてレジの佐藤は自分の自転車を出しにかかった。
明日には店中の噂になるだろう。
正美も自転車を少しだけ動かした。
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