52.対面 #2

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「この方はなんておっしゃるの?ミオ」 母がリュウを見て言った。 「池田です。池田龍一と申します。」 私の代わりにリュウが答えた。 母は何も言わずにリュウをじっと見てから私に向き直った。 「悟さんとのアパートを出てこの方と一緒に暮らしているの?」 母は有無を言わせぬ鋭い目つきで私を見た。 「べつに一緒に暮らしてるわけではない…」 「でも一緒にいるのね?」 母は私の言葉を最後まで聞かずに言った。 「池田さん、失礼だけどあなたおいくつ?」 冷たい目だった。母の言おうとしていることなど改めて聞くまでもなかった。リュウは母にボロボロにされるだろう。母はそういう人だ。 「21です。」 リュウが答えた。 「ずいぶんお若いのね。 ミオよりいくつ年下かしら?」 「5つよ。」 私が代わりに答えた。
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