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「21歳…」
母は言った。
「学生さん?」
「いえ。社会人です。」
リュウが答えた。
「あら。お仕事は?何をなさってるの?」
「商品管理です。」
「商品管理…何かしら?
わからないわ。」
母はわざとらしい会話を続けていた。
「もうやめて。待ち伏せみたいなことして、要は荷物を片付けろってこと?なら片付けるわよ。何故ここにお母さんがいなきゃいけないわけ?」
私は母と悟に言った。
「ほかに誰が片付けるっていうの!悟さんはあなたと連絡がつかないっていうし、私はあなたの居場所も知らないんだから。親として娘と話さなきゃいけないと考えるのは当然でしょう?
私が悟さんにミオの仕事場で待ちましょうって言ったのよ。」
母は興奮してそう一気に言った後で泣きそうな表情で付け加えた。
「情けない。本当に情けないったら。
あなたにこんな恥ずかしい思いをさせられるいわれはないわ。」
確かにそれは認める。
でもこの時、私の中にふつふつと湧いていた感情は紛れもなく母に対しての嫌悪感だった。
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