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迷っているうちに雨がざーっと降り出した。稲光が光ってぽつっと来たなと思ったら一気に豪雨になってしまった。
傘は持っていたけれど、とりあえず動く気になれず社員通用口を出たところで立っていた。
ドアが開いて誰かが出てきた。
「うわぁ、凄い。」
正美だった。
あれ以来、気まずいままろくに会話らしき会話もしていなかった。
正美は私に気づいて「あ…」という表情をした。
「おつかれ。すごいね。雨。」
私は言った。
「うん。」
正美は豪雨の中に踏み出すか、気まずいこの場に留まるか迷っているようだった。
が、結局カッパを着ているとはいえ豪雨の中に傘もささずに自転車を走らせるのを躊躇してしばし留まることにしたようだった。
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