59.知らなかったこと

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いきなり一人で土砂降りの中に放り出された気分だった。 しばらくその場で正美の言ったことの意味を考えていた。 社員通用口のドアが開いてレジのパートの数人が出てきた。 「あらぁ、すごく降ってるわ。どうする?」 「止みそうもないね。」 「行くわ。急いでるから。」 みんなが口々に言っていた。 「川島さんは?行かないの?」 誰かに聞かれた。 私が答えるより早く誰か、多分塩沢が言った。 「やあね、彼を待ってんのよぉ。」 「あらぁ、いいわねぇ。お先にぃ。」 みんなが目配せでもするように去っていった。 「お疲れ様でした。」 私はぽつりと言った。
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