58.異動 #2

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買ったものを自転車の籠に乗せて走り出した。自転車ならアパートまでは5分ほどの距離だ。 「近くなっていいじゃない。」 私は前を走るリュウに言った。 「そうだね。」 リュウが答えた。 車の音がうるさいので会話はそれで終わりだった。 家に着いてからはちょっとバタバタした時間だ。 リュウは後片付けを手伝ってくれるが料理は全然出来ないので私が急いでしたくをする。簡単なものばかりだが、脇で「腹減った」と急かされるので急がないわけにはいかない。 悟は帰りが遅かったし後半は晩御飯も食べなかったから急いでしたくする習慣がなかった私にとっては慣れるまでは大変だ。 それでも好き嫌いなくなんでも「おいしい」と食べてくれるので作りがいがあるというものだ。
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