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「お先に失礼します。」
私は警備員の横山に挨拶をした。
「はい、お疲れ様でした。
まだ降ってないよ。早く帰ったほうがいいよ。今にも降りそうだから。傘袋の用意をしとくか。」
横山はそう言いながらベルトの上にせり出した大きなお腹をぽんと叩いた。
私はにっと会釈をしてドアを開けた。
リュウはまだ来ていなかった。
いよいよ来週から異動ということで正式に発表もあり、まだマネージャーと事務所で話をしていた。ほかにも数人の社員の異動が発表されていた。リュウの同期もほかに二人ばかり異動になるようだった。
出ていく人もいれば替わりに入ってくる人もいて、それに伴う庶務は私達の仕事でもあった。
まだリュウは来そうもないのでどこか別の場所で待とうかと考えた。
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