62.ブルジョアジー

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そろそろこの気詰まりな空気も限界だと感じ始めていると兄が帰ってきた。 「お兄ちゃん。」 私が言うとリュウが立ち上がってお辞儀をした。 「はじめまして。池田です。」 リュウはまるでどこかの軍隊に配属された新入りみたいだった。 兄は軽く口元を緩ませながら 「ミオの兄です。よろしく。」 と言った。私の方を見て面白そうな、何かいいたげな表情を浮かべている。 「これでいいんだろ?」 兄が母に買ってきたものを渡しながら聞いた。 「そう、これ。ありがとう。 トオル、悪いけど一休みしたらでましょう。お茶をあげましょうか?」 「いいよ、遅くなるから行こう。準備は出来てるの?」 「ええ。じゃあ行きましょう。」 私はグラスをキッチンに下げてから母について出た。
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