63.あてつけ

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兄はポーカーフェースを装っていたが、何となく面白がっているような感じがした。 レイはリュウがこの場にいないような態度で完全に無視していた。まるでリュウはここにいるべきではない、場違いな存在とでもいっているかのような、あからさまな無視。 無視を決め込むことで、ここまで完全に自分の意思表示を出来る人はなかなかいない。いや、ごく身近にいた。母だ。この人は母にそっくりだとそのとき思った。 私は改めて未来の義理の姉になる人に苦手意識を感じた。 まあいい。今日のところはやるべきことは済ませた。父も心配な状態ではないというし、あとはタイミングを見計らって早々に退散するとしよう。 伯母が来る前に… そう思っていた矢先だった。 病室の入口の扉が開いて私の苦手な人が入ってきたのは。
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