63.あてつけ

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その姿を認めたとたん、私の警戒スイッチがオンになった。しかしそんなことはおくびにも出さず愛想よくにっこり笑って見せた。 「お久しぶりです。伯母様。」 「あら、ミオちゃん? あらぁ、すっかりいいお嬢さんになられて。まあ、何年ぶりかしら?わからないわ。あなた別嬪さんになったわねぇ。器量良しは川島の血よ。 あら、ごめんなさい。私ったら嫌だわ。優美子さんもお綺麗よね。」 そう言って母の腕を取って笑った。優美子というのは母のことだ。 母はひきつったような曖昧な笑みを浮かべている。 「あら、トオルくん?まあ、あなたは昔から頭も良くて優しい子だったけれど、なんてハンサムなんでしょう?素敵な男性になられて。女性にモテてモテて仕方がないでしょう? ご結婚のお話は?」 「いえ、まだ。」 「あらぁ。どなたかいらっしゃらないの?」 「お義姉様、こちらがトオルのお嫁さんになる方なの。篠崎麗さん。」 母はレイを伯母に紹介した。 「篠崎です。はじめまして。」 レイはCMに出てくる生保レディのように完璧な笑顔で挨拶した。 「あら、あなたもお綺麗な方ね。」 伯母は言った。
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