64.ただ、愛してる

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結局、久しぶりの二人の休みは重たい空気を抱えたまま夕暮れを迎えようとしていた。 とりあえず家に戻ってきた。 リュウはリビングのラグに突っ伏して何か考え事をしているようだった。 私も所在なくリュウの脇で携帯をいじって遊んでいた。 「ミオ。」 リュウが口を開いた。リュウの方から話し掛けられるのは実家の門をくぐって以来初めてだった。 「ん?なあに?」 「散歩にいかない?」 「うん。」 なんだかせつなくてこみあげてくるものをこらえて明るく答えた。 すぐに財布と携帯を入れた小さなバッグを持ってリュウのあとに続いて外に出た。
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