64.ただ、愛してる

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私は黙って頷いた。確かにその通りだ。私の母はクラシックしか聞かず、父はクラシックとジャズのちょっとしたコレクションを持っている。 「どうして俺達こんなに違うのに好きになっちゃったんだろうな?」 「…違ってたらダメなの?」 私は震える声で聞いた。 「俺、ミオのご両親にもわかってもらえると思ってた。 俺達が真剣に愛し合ってることが伝われば俺達のこと、いずれは許してくれるだろうって。」 「う…ん。」 「でも今日行ってわかった。 それは無理な話だって。」 リュウが何を言おうとしているのかこわくて胸がぎゅうっと痛くなった。 「俺、今までミオといると楽しくて嬉しくて幸せしか感じなかった。でも今日ミオん家に行って、俺はミオを幸せに出来ないんじゃないかって気がしてきた。初めて会った時、ミオのお母さんが言おうとしたことがやっとわかった。」 私はついにこらえきれなくて泣き出した。 「親の許しなんかいらない。 こんなことで、こんなことのためにリュウを失いたくない。 どうして?どうしてリュウはわかんないの?リュウがいなくなっちゃったら私、幸せになんかなれない。」 私は泣きながら言った。 「ミオ…」
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