65.女友達

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異動以来、今日はこっちの店舗、明日はあっちの店舗という毎日を過ごしていたリュウも最近は異動になった小杉店に行くことが多くなっていた。 私は昼休みも午後の休憩も、その場にいた当たり障りのない人と当たり障りのない話をして過ごした。 私は昔から人と接する時、出来るだけ思い込みや先入観、苦手意識といった感情を持たないように心掛けていた。言ってみればそれは私の数少ないポリシーの一つだ。 初対面の人や、あまり関わりのなかった人に自分から話しかけるのもそれほど苦に感じない。 そういう意味では私は容姿で損をしていた。 親しくなった人は私の如才なさを理解してくれるが、一見するときつくて冷たげな印象の容姿なのは自分でもわかっていた。 だから余計にそのイメージから脱却したくて自分からサービス精神旺盛になってしまうところがあるのだ。
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