61.雨の夜

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「明日から新しい職場なのにごめんね。」 疲れて眠くなってきたので布団を敷いて寝ることにした。 「ミオ?」 「ん?」 「ごめんね。」 「もういいよ。」 「ミホのこと。」 「うん。」 うん、としか言えなかった。 降り続く雨音を聞きながら、私にそっくりだと言う人のことを考えた。 「その人に似てるから? 似てるから好きになったの?私のこと。」 リュウはしばらく何も言わなかった。 もう答えを聞かなくてもいいと思っていたらリュウが言った。 「確かに初めてミオを見た時はびっくりした。だからきっかけとして似てたから関心を持ったってことは否定出来ない。」 リュウは自分自身に言っているような感じでそう言った。 私は黙って聞いていた。 「でもきっかけはどうあれ、そこから先はミオも知ってるだろ?俺がどんなふうにミオを知ってミオを好きになっていったか。そして今、どれほどミオを愛してるか。」 「リュウ。」 「ミオはミオに見えるものだけを信じて。俺の気持ち、信じられない?」 「わかってる。信じてる。 リュウ、ごめんね。」 リュウは私を腕に抱いて眠った。 しんとなった部屋でリュウの腕に抱かれながら雨音を聞いていた。リュウの穏やかな呼吸と雨音に癒されながら私も眠った。
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