62.ブルジョアジー

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異動先の店舗での業務を覚えたり、雰囲気に慣れるように努力したりでリュウは帰宅するとぐったりしていた。 休みも今までのように決まった曜日に定休で取れるわけではないようだった。それに今までの店舗とは違い、繰り上がりでマネージャーになった年上の先輩社員がいるということで気も遣うらしかった。 その夜は久しぶりに次の日が二人とも休みだというので、どこへ出かけようかとワクワクしながら相談していた。 携帯が鳴った。 発信者を見て訝しがりながら電話に出た。兄だった。兄から電話なんて、何か火急の用件ではないのか。 「どうしたの?」 「いや親父が入院することになった。」 「え?なんで?」 「胃腸炎らしいけど、とにかく疲労だかなんだかで衰弱してて体力が落ちてるからしばらく安静が必要らしいよ。最近、忙しくて無理してたらしいぞ。」 「今どこ?」 「病院だよ。点滴して眠ってる。心配はないらしいから安心しろ。」 「お母さんは?」 「付き添ってる。 俺が呼ばれて夕方連れて来た。お前も顔見せにきた方がいいよ。」 「うん。どこの病院?」 「明日来られるか?明日なら俺がおふくろ乗せて荷物取りに帰るから家に来ればそのとき乗せて行くよ。」 「わかった。早めに行くようにする。」 「明日何時頃か電話して。」 「うん。ありがとう。じゃ。」 電話が切れた。
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