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「割り勘しよう。いくらだった?」
私は真奈美にお金を渡すと買ったものをレジ袋に詰めていった。レジ袋2つ分をカートにのせて出口まで歩いていた。
急に私の足が止まった。
自分の見ているものが信じられない。
「どうしたの?」
真奈美が私の顔を見て、私の視線をたどり、真奈美の動きも止まった。
私の周りだけが違う時間軸になって静止してしまったような瞬間。
ここの制服を着たその人も驚きをおさえ込み平静を装って、動けずにいる私の脇を通り過ぎていった。
固まった私の体の中で唯一目だけが反応した。ネームプレートには間違いなく「小野田」とあった。
真奈美の声が遠くから聴こえる気がした。
「誰…あの人?親戚?そっくりなんだけど…」
私は小野田の姿を目で追った。
愕然とした。何が起こっているのか、自分の目が見ているものの意味することすべてを悟った。頭の中に次々と、このところのリュウの様子が浮かび私を打ちのめした。
ふらふらする頭にまた衝撃が襲った。小野田を通り越した視線の先にはリュウがいた。
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