67.揺らぎ

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私は見ているものを無意識に否定していた。 彼女がリュウに何か話しかけた。彼女の表情は見えない。 リュウはゆっくりと視線を奥へ、私達な方へシフトした。そしてリュウの目が私をとらえて大きく見開かれた。 すべてがスローモーションのように見えるのは、その光景が意味することを私の脳が理解したくなくて拒絶しているせいだろうか。 私もリュウもそのまま立ちすくんでいた。小野田美保だけがドアを押してバックルームに消えた。私の目に拭いがたい残像を残して。 「知ってる人? 池田くんも?」 真奈美が呪縛から解かれたように聞いてきた。 「そうみたい。リュウの元カノ。初対面だけど。」 私はリュウから視線を外さずに言った。
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