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目をそらすことも顔を背けることも出来なかった。ただそのまま凍りついたようにリュウを見つめたまま固まっていた。
リュウもフォーカスロックしたように私を凝視したまま近づいてきて私と向かい合って止まった。
真奈美も私の脇で固唾を飲んで状況を見守っていた。
「ミオ…」
いろいろな思いがぐるぐると巡り一言も発することが出来ない。涙だけが目に溢れてきた。
それ以上リュウを見ていることが出来なくてくるりと踵をかえして出口に向かった。
「待って。」
リュウが私の腕を掴んだ。
「ミオ…」
私は何も言わずリュウを見た。涙がこぼれた。
「離して…」
私の腕を掴んでいるリュウの手の力が緩んだ。私はリュウの手を解いて歩き始めた。
「ミオ、待って。」
真奈美が言った。
「仕事が終わったら必ず連絡して。ミオと一緒にいるから。絶対だよ。」
真奈美がリュウに言っていた。
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