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「それで?」
私は渇いた声で聞いた。それで私にどうしろと言うのと言いたかった。
「波風を立てようとしてるわけじゃないの。ただ会いたいだけ。パパに。」
私は小野田を見た。無表情に眺めたと言った方が正しいかもしれない。取り付くしまのない私の態度を前に彼女の目が必死にうったえていた。
「お願い。」
私は目を逸らした。
「今でも十分に波風立ててる。あなたの存在自体が脅威。
私は初めてすれ違った時からあなたを脅威に感じてた。私が悩んでいた理由は的外れだったみたいだけど。まさかこんな話を突き付けられるとはね。とにかくどんな理由であれ、あなたは私の平穏を掻き乱す存在ってことには変わらない。」
私は冷たく突き放した。とうてい受け入れられなかった。ましてこんな唐突に追い詰めるようなやり方をしておいて、最後に泣き落としをして人を動かそうなんて虫が良すぎる。小野田の気持ちなんかわかりたくもないというのが素直な反応だった。
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