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「リュウの話だとばかり思って行ったら全然違った。」
リュウは何も言わずじっと固まっていた。
「どんな話でも受けて立とうってくらいの気持ちで行ったんだけど見事に打ちのめされちゃった。」
「どういうことか…よくわからない。」
リュウがやっと口を開いて一言発した。
「父親の子供がよそにもいたってこと。写真を見せられたの。紛れもなくお父さんだった。」
「そんな…」
「赤の他人があんなに似てるわけがないもん。私は昔から父親似。彼女もそうみたい。
リュウだって…」
リュウだって似てるから私を好きになったんでしょ?と言いかけて口をつぐんだ。
「あの人、私たちは出会うべくして出会ったんだって言った。ずっと父に会いたいと願ってたとも。
だからあの時、小杉の店で初めてすれ違った時、私が誰なのかすぐに悟ったって。
彼女が言うように偶然すれ違うのも、職場が同じだったことも住所が近いことも運命かもしれない。」
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