72.血と膿

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母との電話を切るとすぐに兄にも電話した。 留守番電話サービスに接続しますというメッセージが流れた。 『急なんだけど、今晩実家に来られたら来て。お兄ちゃんも会うべき人を連れていく。』 伝言を残して電話を切った。 もう後戻りはできなかった。 父は自分の愚かな罪にどう向き合うのだろう。母の取り澄ました顔はどんなふうに歪むのだろう。 父の過ちは父の代で終わりにして欲しい。父が負うべきだ。私とリュウが壊されることではないはずだ。 美容室に行って髪を切った。今のスタイルは気に入っていたが小野田と全く同じようなスタイルだったから変えたかった。 会話がうっとうしかったので、あえて行ったことのない美容室に行ってみた。 初めて行ったわりには上手な仕上がりに満足はした。 でも気分は晴れなかった。
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