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私は黙って給仕されたコーヒーに砂糖とミルクを入れスプーンで掻き混ぜた。リュウのことでないならいったい何の話があるというのだろう。鈴木さんのことか?それなら私と小野田が話し合うまでもないことだ。ますます不愉快になってきた。
「あ!」
思い当たったような表情で小野田が言った。
「私が昔リュウイチと付き合ってたことがあるから…だからそんなこと言われたのか。誰?そんなこと言うのは。」
「誰だっていいでしょ。」
この女の無邪気というより無神経さに苛々した。
「やっかみでしょ。気にしないで。その女ってもしかして雑貨かどこかにいた子持ちのオバサンじゃない?」
私は黙っていた。呆れていちいち怒る気にもなれなかった。
「やっぱりね。あの人、自分より若くてきれいな女がリュウイチと付き合うのが気に入らないだけだよ。
私もごちゃごちゃ言われたもん。あ、私とはもう完全に終わってるからホント、気にしないで。」
善人ぶってそう言う。自分勝手きわまりない。
「リュウを見ていると完全に終わってるとは言えないみたいだけど。」
私は指摘するように言った。
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