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ふいの一撃で頭がくらくらとして体が震えてきた。写真を持つ手が小刻みに震える。
「これは何なの?」
小野田に聞いたわけではなかった。そんなはずはないと否定したい気持ちから思わず口をついて出た言葉だ。
「それを聞きたいのは私の方。」
小野田が落ち着き払った声で言った。
その古ぼけた写真はごくありきたりの家族のスナップだった。どこか行楽地へでも出かけた折に、記念によその人に取ってもらったようなスナップ写真。
幼い子供を両親が二人して支えるように立ってカメラに向かって笑顔を作っている。子供は小野田美保だろう。そして見たことのない女性は母親なのだろう。そしてその脇に立って、娘そっくりの表情で穏やかな笑顔を浮かべているのが小野田美保の父親なのか。そう、そこに写っているのは紛れもなく若い頃の私の父親だった。
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