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「何よ…これ…どういうこと?」
私はほとんど聞き取れない位の声で呟いた。目の中に写真の残像が残って消えなかった。
「その人、私の父親。私の思ってる通りだとすればあなたのお父さんでもある…」
小野田美保が言った。
私は何も言えなかった。
「川島さんって言うんだよね?」
小野田の言い方は一つ一つ、外堀を埋めて逃げ道をふさぐようで、私はコーナーに追い詰められたままなすすべもなくパンチを浴びせられ続けているノックアウト寸前のボクサーのようだった。思考が完全に停止し何も出来なかった。あまりのショックにそのまま小野田を置いて席を立ち店をあとにすることさえ出来ずにいた。
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