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ダイニングテーブルは寸分の隙もなくテーブルコーディネートされていた。まるでこれから撮影でもするかのような雰囲気。私が客を連れていくと言ったからかいつもよりさらに気合いが入っているように感じた。
私が連れて来たのが小野田とは知る由もなく。
私は悪魔の使いになったような気がした。
いたたまれなくなり自分が使っていた部屋まで階段を上がっていった。
ドアを開けて中に入ると少しだけ気が楽になった。部屋は私が使っていた頃とほとんど変わりがなかった。使ってはいないがきちんと掃除はされている。いかにも母らしかった。
私はベッドスプレッドがかけられたベッドに腰掛け携帯を取り出した。
リュウはすぐに出た。
「どうしたんだよ?急に。朝は何も言ってなかったのに。」
リュウは言った。
「ごめんね。リュウ。ほんとに。」
「いいけどさ。それよりあいつも行ったってどういうこと?大丈夫なの?」
「うん。私が呼んだの。でももう帰っちゃった。お父さんが送っていった。」
「わざわざ呼んで実家に行くことにしたの?なんで?」
リュウはわけがわからないというような声で聞いた。
「もう私たちばかり振り回されたり掻き回されるのは嫌だと思ったの。
私とリュウと彼女、ただでもぐちゃぐちゃにもつれてるのに、さらに因縁があるなんて。
膿は出してしまいたかったの。」
私はリュウに言った。
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